大判例

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東京地方裁判所 昭和40年(ワ)10020号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕<証拠>によると、原告坂井が退院するころの昭和三九年一〇月三〇日に、被告会社常務取締役の中島甲子造は「原告坂井は昭和三九年一〇月末日までの治療費を被告会社が負担してくれれば、慰藉料その他一切の請求をしない。」旨の念書(乙第一号証)および「原告坂井は被告新谷が右治療費を負担することで示談する。」旨の示談書(乙第二号証)を作成し、被告会社々員平井武雄を通して原告坂井にその捺印方を求めたところ、同原告がこれに応じて捺印したことが認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

右事実によれば、その際に同原告と被告らとの間に右乙第一号証の内容の示談が成立したと認められる。証人坂井重太郎の証言も右認定を妨げるものではなく他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

<証拠>によると、被告会社は同原告の診療費として四六三、六三二円、マッサージ料五六〇〇円、看護費用として一二三、一五〇円を支出し、その他に三五、〇〇〇円を原告坂井に支払つていることが認められる。以上合計すると六二七、三八二円となる。……中略……すると被告らが治療費等を負担したのであるから、同原告がなした治療費以外の損害賠償請求権の放棄はすでに確定しているといわねばならない。

そうすると、同原告の本訴請求は、もはや理由がなく失当といわなければならない。

(なお、原告坂井の過失と被告らの過失とは七対三の比率を相当とするところ、同原告も原告関に対し損害賠償債務を負うことや被告らの支出額を考えると右放棄が不当と思われる点はない。)<中略>

二、<証拠>によると、事故当夜一〇時半ころ、原告関は訴外西山や原告坂井とともに出かけたが、その時から原告坂井の運転する原告坂井の第二種原動機付自転車の後部座席に乗車しており、途中バーに入り三人でビールを飲み、さらに原告車に乗車中本件事故にあつたことが認められる。飲酒することは、顔に酔いが出る程でなくとも注意力、反射速度をにぶらせたりするのであるから、飲酒運転は厳禁されるべく、運転者が飲酒しているときはこれに同乗することを慎しみ身を守る注意力が必要である。原告関はこの点においてかける点があつたことは否定しえない。かかる点を考慮すると約一割の減額が適当であり、(一)積極損害中二八、〇〇〇円、(二)逸失利益中三、〇九六、〇〇〇円を被告に支払わせるのが相当である。(浅田潤一)

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